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あの子

2024 | Theater Piece

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Note

奇妙な文字の集合を眺めていたら、 表層から離れたところの底にあの子をみつけました。 あの子はいつも?????そうで、!!!!!を思っていて、******を願っていました。 顔も知らない、肌すら触れない、 生温かい無機物から見るあの子のことが頭から離れませんでした。 あの子の世界に関与できたなら。あの子が私だったなら。

Overview

声、ピアノ、2つのヴァイオリン、そしてSNSプラットフォームであるX(旧Twitter)を演奏主体として用いるシアターピースである。 本作は、現実世界と連続しながらも、ユーザーの内面や分裂した自己像が可視化されやすいSNSという媒体の特性に着目し、投稿の蓄積や即時的な反応を通じて生じる「同一性の揺らぎ」や「主体の崩壊」をテーマとした。演奏中、アカウントはリアルタイムで投稿を行い、その内容やタイミングが音楽の進行に直接影響を与える。これにより、上演ごとに音楽に異なる展開が生まれる可変的な形式をとる。 語り手は序盤において、アカウントの投稿内容を俯瞰的な立場から解説する存在として現れるが、物語の進行に伴い、次第に主人公格と自身を重ね合わせるような語りへと変質していく。この変化は、SNS上で形成される人格が他者の解釈や視線を通して増幅・侵食されていく過程を象徴している。 セクションA〜Eでは、Xのアンケート機能を用い、観客が投稿内容の一部を選択する仕組みを導入している。演奏の16小節前にアンケートが投稿され、8小節前に語り手が結果を確認・判断し、その内容に基づいて語りを行う。他の奏者はその語りを手がかりに、対応する楽譜セクションへ移行することで、観客の選択が物語と音楽の進行に反映される構造となっている。 また、演奏中のアカウントの動向を共有するため、譜面上にはSNS上のアクションに対応した記号(投稿、アンケート、確認行為など)が記譜されており、演奏家はそれらを演奏上のサインとして読み取りながら進行する。 これらの手法を用いて、SNSを利用する行為そのものを演奏行為の一部として組み込んだシアターピースを成立させている。

Process

まず、Xに投稿されるテキスト内容の設計から着手した。序奏部では、およそ五つの投稿を連続して行い、主人公格となるアカウントの人格や置かれている状況を、鑑賞者が把握できるよう構成した。その後、次のセクション以降ではアンケート機能を用いた投稿を行い、観客の投票結果に応じて、以降に投稿される内容が分岐していく構造とした。終奏までの過程において、投稿内容は合計で192通りの組み合わせをもつ。 これらSNS上の投稿内容に対応させるかたちで、実空間において演奏される音楽を構想し、記譜を行った。ここでは、ミニマル・ミュージックの系譜を参照し、短いリズムや和声進行の反復を基盤としながら、徐々に内容が変質していく構成としている。また、このとき、一部にスピーチ・メロディの手法を取り入れている。語り手の発話内容から音高を抽出し、それを音符や旋律として記譜することで、語りと器楽の音楽的な接続を確保できるようにした。これにより、投稿内容に応じて語りが変化するたびに、その旋律も逐一変容する構造となっている。さらに、例えばX上での投稿内容に応じて次に現れる音楽的展開が二通り想定される場合には、一方を長調、もう一方を短調の進行とするなど、選択の違いが聴覚的にも明確に知覚されるよう設計した。 これらの手法を通じて、SNS上の情報と音楽構造を密接に結びつけることを試みている。

Tools

SibeliusX(旧Twitter)